雨が多いことで知られる、台湾随一の観光地「九份」。
そこに向かうバスに乗ることがあれば、少し乗り過ごしてみてください。15分ほどで金瓜石というエリアに到着します。

名前のとおり「金」が採れたこの地は、清・日本・中華民国と台湾統治の移行の影響を受けてきました。
中でも日本統治時代の1930年代には日本企業による大規模な採掘・精錬が行われ、東北アジア一と言われました。

黄金神社が建てられたのは1933年、鉱山が繁栄の時を迎えようとしていたころ。

それから85年の間、第二次世界大戦における捕虜・囚人の強制労働、戦後の採掘量減少に伴う衰退など、美しいばかりではない歴史と共にありました。

今では鉱山は閉鎖され、産業遺産として生まれ変わりました。山に沿うように作られた「黄金博物館」、その敷地内のひときわ高いところに、黄金神社はその一部を残しています。

金塊、金細工、美しい庭園と建築。
在りし日を忍ばせる黄金博物館の展示と記された鉱山の歴史。
人の業を洗うように今日も雨が降っています。